ひと足早いクリスマス(3)
帰宅すると、母はまだ出かけずにいた。
「掃除を手伝わされたわよ」
と、うんざりした様子。
甥っ子が来るとなると、父は掃除に精を出す。
出すのはいいが、全て一人でするわけではなく、
「お母さん、ちょっとこれ持って」
「あ、ここ手伝って」
という具合。
まあ、こういうところ、私は父似なので、
あまりえらそうなことは言えないけれど。
「三宮、すごい人よ。掃除で疲れてるんだし、
出かけるの、やめたら?」
しかし、母は
「じゃあ、ささっと買って、帰ってこなきゃね」
と言うや、そそくさと出かけて行った。
甥っ子のために、ロブスターを買いに。
なにがなんでも、ロブスターなのだ。
母がロブスターにこだわるワケ。
それは、幼い頃の彼のひとことからである。
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