ひと足早いクリスマス(6)
兄の近況。
兄と甥っ子にテレビを運んでもらった後、
「ちょっと、PC貸して」と、兄。
自宅のPCの調子が悪く、ネットがつながらないらしい。
普段なら、面倒くさいと思うところだが、今日は特別。
「どうぞ、どうぞ。お好きなだけ。でも、部屋は散らかり放題。
プリンタは故障してるから、色が出ないわよ」
「いいよ」
ルーターとPCを起動して、部屋を後にした。
母と義姉が後片付けをしているので、少しはお手伝いしないとね。
お茶とケーキの用意ができた頃を見計らったように、兄が降りてきた。
「なんか変な色が出てきたよー」
そう言って、一面ピンクの原稿を差し出す。
「だから、プリンタ故障してるって言ったじゃない」
あまり人の話を聞かないところは、我が家の血筋なのかしら。
「なに?その紙の量は!」
側で、義姉が呆れている。
「PC借りただけじゃなくて、そんなに沢山出力してー!」
言われて見ると、20枚くらいプリントしたようだ。
こういう性格は誰に似たのやら。
義姉が恐縮してあやまるので、
「いいですよ。慣れてますから」
と苦笑する私。
「で、何をプリントしてきたの?」
「メールの添付文書と、こないだの講演の記事」
学者を生業としている兄は、多方面の人との出会いがある。
先の講演で知り合った帰国子女の方のこと、大学の統廃合で
交流をもつようになった医学部の世界など、知りえぬことを
話してくれる。
ただ、ちょっと話が長いのと、やや難解すぎてわかりづらい
ことが難点かな。
「医学部といえば・・・」
いっせいに甥っ子を注目した。
「え?な、なに?」
甥っ子がかたまっている。
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