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母のこと(43)

父は総入れ歯だが、
母はすべて自分の歯が自慢だ。
ところが、要介護になってから、下の前歯が2本抜けた。

最初の歯が抜けたとき、歯医者へ連れて行ったが、
「通院は大変でしょう」と、根元の処置のみ。
2本目のときは、歯医者へ行ける状態ではなく、そのまま放置。

先週の金曜日、右の奥歯が抜けた。
歯磨きのあと、
「ぐらぐらしてる。痛い。抜けそう」と母。
「困ったねぇ」

しばらくすると、「何か食べたい」と言うので、
お菓子を食べさせると、
「あ、抜けた。すっきりした」
「甘いものばっかり食べてると、歯ぬけババアになっちゃうよ」
「かまへん。もう歯ぬけババアやもん」

いまや食べることしか楽しみがない母にとって、
歯が抜けることより、お菓子を食べられないほうが苦痛なのだ。

翌、土曜日のこと。
ディサービスへ送りだしたあと、少し寝ようかなぁと思いつつ、
甘いものが食べたくなり、ミルキーをひとつほおばった。
ミルキーは食べ出すと、とまらない。
またひとつ、もうひとつ・・・と、むしゃむしゃ。

ガリッ!
イヤな音がした。
あわてて出すと、案の定、歯のつめものが取れていた。
ああ、やっちゃった。

歯医者へ電話すると、
「今すぐなら空いてます!」
「すぐ行きます!!!」

母にえらそうに言えたもんじゃない。
私は歯医者へ行けるから良いものの、である。

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