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母のこと(42)

昨夜のこと。

父の機嫌が悪く、母が「もう死んでしまいたい」と言った。
「なぜそんなことを言うの?」と聞くと、
「毎日考えている。生きているのがつらい」とも。

全身の力がぬけていくような感覚だった。
毎日毎日、身を削るような思いをして、介護と仕事を両立させている”つもり”だった。
だが、当の母は、”つらい”という感情しかなかったのだ。

大粒の涙がこぼれてきた。
「そんなこと、言わんとって。元気に生きとって」
「ありがとう、こんなお母さんのために泣いてくれて」

”こんなお母さん”という言葉が、また涙を助長させた。
「”こんなお母さん”なんて、言わんとって!」
「お母さん、元気になりたい・・・」

二人して、トイレの中で泣いた。


今朝、少し寝坊して、1Fにおりると、母がお菓子を食べていた。
「お腹すいたの?」
「うん」

すぐに朝食を用意した。
「昨日、泣いたから、目腫れてるわ」と言うと、
「なんで泣いたん?」と母。
「昨日、ワンワン泣いたでしょ、トイレの中で」
「・・・忘れた」
「ええっ!? あんな感動的なこと、忘れちゃったのぉ???」
「うん」
「・・・」

新しいことは忘れるが、昔のことは覚えている。
それが今の母である。

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