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母のこと(46)

母がまた転倒した。
土曜日の早朝のことだ。

夜は、トイレまで行くのが大変なので、
ベッドの傍にあるポータブルを使ってもらうようにしている。
たぶん、手すりをもって立ち上がるとき、バランスを失ったのだろう。
ドスン!という音がして、父が目を覚ました。

父は糖尿病で緑内障を患い、片目の視力はなく、
もう片方も下半分は見えない。
「お父さん、助けて」と言われても、すぐにはわからない。
「どこ?」
「ここ」と答える声を頼りにさがす。
足が見えたので、母が仰向けに倒れているとわかった。

頭を強打したといい、痛い、痛いとうったえる。
そして、ただ「救急車をよんで!」を繰り返すばかり。
父もどうして良いかわからなくなり、私の携帯を鳴らした。

私は、といえば、連日の睡眠不足をとりもどすべく、爆睡中。
携帯もバイブにしてある。
それでも、何度も何度もブーン、ブーンと音が鳴れば、目が覚める。
携帯の着歴は実に9回。
父も辛抱強く鳴らしたものだ。

フラフラになりながら、階下に降りた。
母の顔を見ると、左目のあたりから、擦ったような傷。
「こけたの?」
「トイレがドーンと落ちてきた」
・・・トイレが落ちてきたら、床は水浸しである。
水一滴落ちてないから、倒れる寸前の母の感覚なのだろう。

「救急車を呼んで!」
「どこが痛いの?」
「全身」
「頭は?」
「痛い」

どのあたりかと聞きながら、意識レベルを確かめてみた。
ただし、素人では判断できないので、訪問看護師へ電話し、相談した。
「手を握って、握り返してくるかを確認してください」
「ちゃんと握り返してきます」
「目の動きを見てください。左、右・・・動きますか?」
「痛いと言って、俊敏ではないですが、なんとか動いてます」
途中で、母に電話をかわった。
看護師さんと話もできている。

「救急車を呼ばなければならない状態ではないですね。
心配でしたら、9時になってから、整形外科へ行かれては?」
「そうですね。痛みどめで、カロナールとロキソニンを処方されてますが、
どっちが良いですか?」
「カロナールで良いと思います。胃をあらさないですし」
「そうします。何かあったら、また電話します」

カロナールを2錠飲ませると、少し落ち着いた。
心配性の父は、介護タクシーを手配し、整形外科へ行く準備を始めた。
文句を言っていても、案外優しい父である。

朝食(パン)の用意をし、母に食べさせると、今度は喉につまった。
父と二人がかりで吐き出させ、ようやくおさまった。
おかゆはキライだし、他に食べるものがない。
困った。
ヤケクソで、冷凍のたこ焼きを出すと、6個食べた。
ただし、たこはつまるので、たこ抜き。

10時に、ヘルパーさんが来た。
事情を話し、病院へ付き添ってもらった。
ただし、ヘルパーさんは、介護タクシーに同乗できない。
介護タクシーには父が同乗し、ヘルパーさんは別便で向かってもらった。

3人を送り出したあと、洗濯とお昼ご飯の用意。
朝寝坊どころではない。
一段落したところで、帰ってきた。
頭のほうは異常ナシ。
ただし、肩、背中、腰の骨がボロボロなので、骨粗鬆の治療を変えるとのこと。
月曜日、もう一度病院へ行くという。
ヘルパーさんの時間を変更してもらい、病院への同行を頼んだ。

昼食後、3人とも疲れて、お昼寝。
途中、けたたましい声が階下から聞こえたので、あとで聞くと、
ディサービスの所長がお見舞いに来たのだという。

3時半に、買い物ヘルパーさんが来るので、重い身体をひきずって、階下へ。
今夜は何もしなくても良いようものを頼んだ。
ついでに、明日のお昼も。
あとは・・・なんとかなるだろう。

夜になっても、まだ痛いという母。
できるだけマッサージしてやりたいが、私も首、肩、腰に痛みをかかえている身。
20分くらいが限界である。
それに、どれほどマッサージしても、母はすぐ忘れ、
「何もしてくれない薄情な娘」
よばわりされるのである。
あとは、テープでガマンしてもらうより他ない。

因みに、「救急車を呼べ!」と叫んでいたことも、
母はすっかり忘れていた。

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