« 母のこと(54) | トップページ | 母のこと(56) »

母のこと(55)

今日は、母が入院している病院の院長との面談があった。
ケアマネージャーも同席してほしいとの院長意向で、
当初、「あの人が同席するんなら、私は行かない」と拒んでいたが、
よくよく考えてみると、信頼できないケアマネージャー任せにしては、
かえって面倒になると考え直し、行くことにした。

「ケアマネが病院の場所もわからないと言うから、
いったん家に来てもらい、タクシーで一緒に行く」と、父。
「病院の場所ぐらい調べればすむことじゃない」
「まあ、そんな意地悪を言わんと」
そう言われ、渋々承知した。

今夜から寒くなるので、ハーフケット(電気毛布は持込禁止なので)、
紅茶、あまおうカルピスを用意していると、ケアマネがやって来た。
いつもの調子で、
「お父さん、今日ね、ヘルパー事業所のマネージャーも同席させることにした」
と、ため口で話す声が聞こえた。
無視して、母に持っていくものを準備していると、
「誰かいはるの?」と、のぞきこむように、私を見たので、
「娘がいます」と答えた。
「(一緒に)行かれるの?」
「今日のために、休暇をとったんです」
「あ、そう。カゼはどうですか?」
ひと月前のカゼを持ち出す無神経さに苛立ち、
「なおってません」とだけ、答えた。

私が怒っていることを感じ、父が退院後の話をしようと切り出した。
が、その話となれば、ますます父一人では、ケアマネがいい加減な対応となる。
私も席についた。
父が要望を出し、「フン、フン」と答えるケアマネ。
頭にきて、ついに言った。
「計画を立てるなら、きちんとメモをとってください。
この時間帯は第1希望、これがダメなら第2希望。
第1希望の場合、夕方は30分。第2希望の場合は、1時間。
いいですか?  言った、言わないの話にならないように。
それと、介護保険単位上限値から、訪問看護費、介護用品レンタル費は必須だから、
残りをどう振り分けるかを算出して、計画してください。
上限値内の場合、全ての要望を聞いた場合など、複数パターンになりますよね?
それを提示ください。この様式は、神戸市の所定様式で、間違いないですね?」
「おいおい、そんな言い方せんでも・・・」
「いや、この人にはきっちり言っておかないと、8月と9月のときのように、
あとでオーバーしたと事後報告になるから」

8月からディサービスの利用回数を増やしたら? とのケアマネ提案を受け、
水曜日と日曜日以外を組み入れた。
少しぐらいの超過は仕方ないと了解したが、実績値ははるかにオーバー。
あわてたケアマネが、
「9月から金曜日のディサービスはやめよう。2回くらいならいけると思うけど、
奇数週、偶数週とか、ややこしいから」
とのお粗末な言い訳をしてきた。
「そんなもん、先に言ってくれ」
そう父が言うと、
「お父さんが、超過しても良いって言うたから、そうしたんやで」と開き直き、
「だいたい、娘さんに介護を協力してもらったら?」と、私を非難した。

今のケアマネになって以来、私はずっとガマンしてきた。
ヘルパーの件で相談したときも、ヘルパー事業所へ言っておくと答えたが、
何の処置をしなかった。
後日、理由を聞くと、
「あ、何か言ってましたね。それはヘルパー事業所の問題やから」
と、ぞんざいな回答。

決定的だったのは、介護計画書の内容。
そこに書かれてあったのは、
「娘は仕事が忙しいから、介護できない。
たまに、父の通院付き添いをする」であった。
よくも、こんな虚偽を書いたものだと、腹が立った。
前任者の計画書には、事実そのものが書かれていた。

ふれあいセンターへ相談すると、ケアマネを変更することは可能とのこと。
父に、変えてもらうよう頼んだが、
「お母さんが退院してからでも良いんとちがうか」
と煮え切らない。

そして、今日。
病院へ向かう時間になり、私は車を取りに行くため、先に家を出ようとした。
「ヘルパー事業所の人を待たんでもええの?」と父が聞くと、
「ああ、彼女は電車で病院へ行くから、大丈夫」と、答えるケアマネ。

「私はケアマネだ」
そう誇示する素振りが見えた。

「あなたも、電車で行ったら?」
「今日は、お父さんがタクシーで一緒に行きましょうって言いはったから。
それに介護計画の話もしたかったし」
また、ウソをつく。
「とにかく、私はあなたに対して、不信感を抱いているんです」

それだけ言って、家を出た。
車を取りにいき、父のため、坂道の上まで、車をまわした。
まだごちゃごちゃと言っているのが聞こえた。
「道の真ん中なので、早く乗ってもらえます?」
「すみません。車で行くなら、私、申し訳ないです。
で、さっきの話ですけど」
「介護計画に虚偽のことが書かれてあったこと?」
「え? そんなこと・・・、計画書を持ってきてないから、わかりませんけど、
ウソは書きません」
「いえ、書いてありましたよ。因みに、前任者の計画書と比較しましたが、
前の方は、ちゃんと事実を書いてありましたよ。今、運転中なので、
あとにしてもらえます?」
「わかりました・・・」

病院までの車中が、いやな雰囲気だったことは言うまでもない。

病院へ着き、母の荷物をあずけたあと、院長と面談した。
入院時と今日撮ったレントゲン写真を比較しながら、
「骨折した股間の付け根に、カルシウムがあつまってきて、
骨が再生されつつあります。
ただ、リハビリは気分次第のところがあるので、起き上がりや
車椅子の移動、歩行にも介助が必要です。
今、介護何でしたっけ?」
ケアマネに向かって聞いたが、彼女は答えられない。
私が「介護5です」と答えた。
「5ですか・・・。退院後は、どんな計画ですか?」
ケアマネが提示した計画書を見た院長。
「ディサービス 週4回!? こりゃムチャクチャや。
いいですか、1日4時間くらい座っているのが限界ですよ。
週4回もディサービス行ってたら、疲労骨折起こしますよ。
3ヶ月くらいムリさせたらダメです」

父が聞いた。
「では何回ディサービスに行けますか?」
「お風呂も入らなアカンから、2回でしょうね。ディサービスより、
整形医の指導のもと、訪問リハビリを受けてください。
それと・・・、一度外泊してもらって、様子を見ましょう」
「帰宅願望が強いので、外泊したら、病院へ帰りたくないと言い出すかも」
「家で過ごせるなら、言うことなしですよ。リハビリ療法士をうかがわせます
ので、自宅の状況(手すりや段差、移動距離など)を判断します。
あと、考え方を転換して、施設に入れるか、ですね」

施設・・・。この問題はすぐ答えが出せない。
それよりも、食事のことを聞かないと。
「食事はやっぱりきざみ食でないとダメですか?
母は、結構グルメな人なので、美味しいものを食べたいと言うので」
「そりゃ、美味しいものを食べさせてあげてください」
「だけど、嚥下の問題が・・・。パン好きなんですけど・・・」
「12月から、嚥下療法士が来るので、指導します」

肝心の心臓の話になった。
「基本的に、病院はベッド生活ですから、心臓に負担がかかりません。
今はそれなりの状態・・・、つまり悪くはないです。
酸素量も安定してますし、循環器医も在宅酸素は不要と判断してます」

良かった。
ほんとに良かった。
外泊の件は、早ければ週末に、と決めた。

先にケアマネは帰り、私は半月分の精算をした。
病室にもどると、父がケアマネに対する私の態度をたしなめた。
が、私もゆずらなかった。
「お母さんの介護レベルも答えられないような人を信用できない」と。
父は何も答えなかった。

母は、父がいると、安心するのか、「帰りたい」と言わない。
そのかわり、
「何か食べたい」
「この部屋、うるさいから、個室に変えて」
「寒いから、電気毛布して」
と注文が多い。

私は母に言われるまま、お菓子とジュースを口に運び、
電気毛布をかけてくれるよう、看護師さんに頼んだ。
ヘルパーさんが電気毛布を持ってきてくれたのを確認して、
帰ることにした。

「気をつけて帰りよ」
今、このときの母は、以前の母である。

帰宅して、父に個室に変えてもらうよう、お願いした。
それから、在宅は難しいこと、施設のことも検討してくれるようにと。
父は、施設はムリだろうと言ったが、個室は考えてくれるようだ。

|

« 母のこと(54) | トップページ | 母のこと(56) »

母のこと」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218569/58650693

この記事へのトラックバック一覧です: 母のこと(55):

« 母のこと(54) | トップページ | 母のこと(56) »