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母のこと(57)

入院先の院長の提案で、母が外泊した。
「とりあえず一泊してみて、様子を見てみましょう。
そのとき、リハビリ療法士をうかがわせますので、
ご自宅の状態を確認して、ケアマネさんと相談の上、
退院後の計画をたててみましょう」

一抹の不安はあった。
とにかく帰宅願望の強い母である。
いったん帰宅してしまうと、二度と病院へ帰らないと言いかねない。
「そのときは、退院するまでに福祉用具か工事をするから、
一度病院へもどって、と言えば良いじゃないですか」と、院長。

父と私は、この院長の言葉をすっかり忘れていた。
案の定、再度病院へ行かなければならないことを理解できず、
怒り出す始末。
ようやく納得したと思いきや、またふりだしに戻る。
なだめて、病院へ向かったが、病室で着替えを始めたとたん、
「さわらんといて! お父さん、お父さん!」と叫ぶ始末。
父と私がかわるがわる説得し、いったんは落ち着いた。
先に私は帰ったが、残った父は面会時間ギリギリまで、
この繰り返しだったという。

疲れ果てて戻った父がポツリと言った。
「あんなに大声出して、まわりに迷惑かけて、情けない。
今の状態だと、自宅に戻ってきても、(私がいない時間)
ワシ一人では介護しきれない・・・」

億万長者でない限り、いきとどいた介護サービスなど受けられない。
しかも、来年以降、自己負担は2割になる。
介護サービスが何も無いよりは、あるほうが有難い。
しかし、結局のところ、しわよせは家族にふりかかってくる。
これが介護の現状だ。

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