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母のこと(97)

今日は、父が母のもとへ。
午前中、そごうで買ってきた福砂屋のカステラと、
ヘルパーさんへの差し入れのお菓子を持って行ってくれた。

夕方、携帯電話が鳴る。
父からだ。
出ると、傍らで母の声が聞こえる。

「お母さん、大荒れや。なんでこんなところに入れたんや、
もう死んでしまいたい、とワシを責めるんや。
ちょっとなだめたって」

「なだめたって」と言われても、相手は母である。
なだめる自信などない。

「もしもし、よりちゃん?」
「うん、お母さん、体調はどお?」
「体調はなんとかやけど、気持ちがアカン。
お父さんが来て、いらんことばっかり言うから、腹立ってしようがない」

昨日の電話では、
「お父さんに会いたい。明日来てー」
と甘えていたくせに、今日はうってかわって、怒りの矛先を父に向けている。

「ご飯は食べた?」
「お昼? 食べた」
「おやつは?」
「・・・忘れた」
横で、「カステラを食べたやろ。よりちゃんが買ってきてくれたカステラ。有難うって言わな」という父の声が聞こえる。
「カステラ、有難う」
「美味しかった?」
「美味しかった。そやけど、もうアカン。生きてるのがつらい」
「そんな悲しいこと言わんとって」
「悲しむのは、よりこだけ。お父さんはせーせーする言うてる」
「そんなことないよ。お母さん、いま身体の具合も悪いから、悪いほうに悪いほうに考えてるんよ。何も考えんとき」
「考えとき、言われても、考える。いろいろ考える」
「困ったわねぇ。どうしていいかわからんわ」
「私もわからん」
「ちょっと横になったら? お父さんに背中なでてもらい」

ワタシの声を聞いた父が「お腹なでたろか?」と言うが、
「お腹は痛くない」と母。
そして、「横でごそごそせんとって! イライラする!」と、また怒る。

「お父さんに、そんなことばっかり言ったらダメ。お母さんと同じ年寄りでしんどいのに、お母さんのことを心配して行ってくれてんねんよ。もう来てくれへんよ」
「来てくれんでもええ」
「いつも、『お父さーん、って呼んでる』って、ヘルパーさんが言ってたよ」
「・・・もう言わへん」
「ほんまぁ?」
「・・・」
「お母さん、お父さんに八つ当たりして、ちょっとはスッキリしたんとちがう?」
「・・・」
「そしたら、お父さんに『ごめん』って謝っとき」
「よりちゃんから言うとって。お父さん、よりこが電話かわって、って」

バツが悪くなったのか、父に電話を代われという母。
まったく勝手なものである。
母に代わり、父に謝り、我慢してくれるよう頼んだ。

「ほんま困ったこっちゃ。それとなー、ヘルパーさんによると、夜あまり寝ていないというんや。どうしたらいいやろか?」
「看護師さんに、安定剤を処方できないか、相談してみたら?」
「そやなー、そうするわ」

父は夕食時まで母につきそい、ぐったり疲れた様子で帰ってきた。
「看護師さんが2人、来てくれて。明日、先生の往診があるから、言うときます、って。
お母さんも、看護師さんが来たら、ちょっと落ち着いたわ」
「さんざんお父さんに当たって、ストレス発散したからとちがうの?」
「そうかもな・・・。それと、昨日よりちゃんが来たこと、忘れとったで」
「そう・・・」

母は、どんどん忘れていく。
昨日のことも、今日のことも、ついさっきのことも。
そのうち、ワタシのことも忘れるのだろうか?
そう思うと、切ない。。。

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