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母のこと(86)

ようやくカゼがなおった父が、昨日母のところへ行った。

着くなり
「迎えに来てくれたん?」と母。
また自宅に帰りたいとごねていたもよう。

持って行ったイチゴも
「この前よりちゃんが持ってきてくれたほうが美味しかった」と難癖をつける。
母は、何だかんだと父には八つ当たりをして、ストレスを発散したいのだ。

「また二人でじーっとにらめっこしてたの?」
「そうや、話すこともないしなー。ワシは椅子に座ってるだけや」
「お母さんは、お父さんがいてくれるだけで嬉しいのよ」
「そうかなあ…」

約3時間、父と母は何をするでもなく、ただ一緒にいた。
ゆるやかに時間が流れている、幸せな光景のようにも思える。

ただ、父が帰ったあと、母の不安は増すのか、
今夜、特養から電話があった。
「車椅子から落ちて、手をすりむきました。
看護師さんにみてもらいましたが、骨折はしていないようです」
帰宅願望がつのり、ヘルパーさんを困らせているのかもしれない。
「迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
父は携帯電話の持ちながら、何度も何度も頭を下げ、電話を切った。

「お母さんにも困ったもんや・・・」
「寂しくなるんやろね。
お父さんが帰ったあと、『必ずお父さんを呼びもどしてー!』って言うんだって」
「なんでやろなぁ。ワシは何の役にも立たんねんけどなぁ・・・」
「傍にいてほしいんでしょ」
「この前もな、ここ(特養)へ住んだらええねん、って言っとったわ」

そうなのだ。
いつか、父も施設に入るときがくるかもしれない。

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