母のこと(100)
今日は、なんとハルエちゃんが東京から来てくださった!
ハルエちゃんは、母と同い年の又従姉である。
以前、
「大阪に娘がいますのよ。
だから、大阪へも行きたいし、その足で神戸へも行きたいわ」
とおっしゃっておられた。
そのときは、「決してムリなさらないで」と答えた。
東京から新幹線で大阪まで来るのも大変だと思ったからである。
だが、不屈の精神のハルエちゃんは、とうとう決断した。
「5月9日にうかがいます。勝手に行くんだから、気になさらないで」
そう言われても、はるばる来神するハルエちゃんに会わずにはいられない。
急きょ休暇をとった。
「10時半から11時頃に行く」とのことだったので、10時半前に父と特養へ。
居室に行くと、母の姿がない。
どこへ行ったのかな?
さがしに行こうとしたところ、
「お父さん!」と言う母の声が聞こえた。
ヘルパーさんと北棟へ行っていたようだった。
受付で、ケアマネさんが「今日はおとなしいですよ」と言っていたが、
父の顔を見るなり、怒り出す母。
いつものごとく、「こんなところに居たくない。帰りたい。もう死にたい」と、父に怒りをぶつける。
ひとしきり不満を吐き出すと、言い疲れ、やがて落ち着く。
おとなしくなったところで、叔母が来てくれた。
叔母を見ると、今度はぐったりして、「背中が痛い。苦しい。助けて」とうったえる。
感情の起伏が激しい人である。
少し横になってもらおうと、ベッドに座らせたところで、ハルエちゃんが現れた。
「あ! ハルエちゃん!」
「まあまあ、皆さん来てくださってたの?
あら、お元気そうね。会えて嬉しいわ」
何十年ぶりかの再会に喜ぶ母とハルエちゃん。
大興奮でしゃべり続けるハルエちゃんの話を、母は嬉しそうに聞いていた。
しばらく居室でお話して、1Fのラウンジへ移動した。
話をしていたのは、もっぱらハルエちゃんで、本当に次から次へと話題を提供してくれる。
母もしんどそうだったが、一生懸命、話を聞き、うなづいていた。
ちょうどお昼どきになったので、母を連れて、フロアの食堂へもどった。
ハルエちゃん母娘と叔母と、ランチへ行くつもりだったが、
「いえいえ、お気遣いなく。
神戸の街をブラブラ歩きたいの。
今日は会えただけで、もう幸せ。
本当に嬉しかったわ。ありがとう」
そう言って、ハルエちゃんは春風のように帰って行った。
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