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母のこと(111)

「お母さん、医療マッサージのこと、なんか言うとったか?」
父の質問は、いつも唐突である。

日曜日、母のもとへ行ったとき、共同スペースで話をしたので、
医療マッサージのことを聞かなかった。
帰宅後、父に母の様子をこと細かく話しているのだが、
父も高齢である。
聞いたことを忘れ、しばらく時間が経ってから、
不意に思い出す。

「日曜日は、医療マッサージの話をする暇もなかったから、聞いてないよ。
居室のノートに、火曜と金曜に来てもらうと書いてあるのは見たけど」

居室のノートとは、ケアマネジャーさんやヘルパーさん、
母をたずねて来てくださった方が書きとめてくだれば、と思い
置いてあるノートである。

「そうかー。マッサージを受けたことも『忘れた』って言うかなぁ。
どんな具合やろなぁ。ケアマネさんに聞いてみるわ」
父の「聞いてみる」は、だいたい数日後、
ヘタをすると、ワタシが聞くまで忘れていることが多い。

元気な頃から、定期的にマッサージを受けていた母。
在宅介護の頃は、週1回のリハビリマッサージに加え、
父がタクシーでマッサージ店へ連れて行っていた。

そのマッサージ店へは、ワタシも数回通ったが、
店のオーナーから聞いた話は、とても意外なことだった。

「お父さんは、本当にお母さんのことを大切にされてますね。
目がお悪いのに、タクシーで連れてこられ、マッサージの間は
『ちょっと買い物してきます』って、近くのスーパーへ行かれるんです。
お母さんのお好きなものを買ってこられ、
『帰ってから、食べよなー』って、ほんとにステキな方で、
うらやましかったですよ。
『いままで苦労させてきた分、ワシが看んとなー』なんて、
あの世代の方では想像できないことを、さらっと仰るんですよ」

”あの世代”とは、男尊女卑が根強く残っている世代のことである。
よその家庭の事情は、よく知らないが、
父が母を看ると宣言したときは、ちょっと意外ではあった。

「あとね、お母さんがお嬢さんのことをよくお話されてて、
一番印象に残った話があるんです。
お嬢さん、お母さんをお風呂に入れてはったでしょう?」
店のオーナーに聞かれ、うなづいた。
「お母さん、ものすごく嬉しかったんですって。
娘にお風呂に入れてもらう、ってことが」

この話を聞き、ワタシはポロポロ泣いた。
ワタシの腰痛が悪化するまで、母をお風呂に入れていた。
そのあとは、看護師さんに入れてもらうか、ディサービスで入っていた。
介護のプロに入れてもらうほうが、母も楽だろうと思っていたが、
やはり娘のほうが嬉しかったのだという。

いま、特養にいる母は、機械的にお風呂に入れられているのだろうか。

そういえば、日曜日、母はこんなことを言っていた。
「生きているのか、死んでいるのか、わからない・・・」
ワタシは笑って、
「生きてるから、お菓子も食べてるんじゃない。
気楽に長生きしてよー」と答えた。

だが、母の言わんとしていることは、そんな単純なことではないのかもしれない。
まったく、ワタシは気の利かない娘である。。。

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