母のこと(112)
木曜日、母の友人に偶然お会いした。
「お母さんの具合どう?」と聞かれ、
2年前に倒れ、在宅介護を経て、いまは特養にいることを話した。
「会いに行ってもいいの?」
「ええ、是非。喜びます」
翌金曜日、電話があり、自宅へ来てくださった。
「さっそく行ってきたの。私を見るなり、名前を呼んでくれて、
大喜びで、本当に嬉しかったわ。差し入れの和菓子を渡すと、
娘さんに渡して、持ってきてくれるようにって。
来てほしいってことやね」
「あー、すみません・・・。お手間をかけてしまって・・・。
明日か明後日には行くので、渡してきます」
いかにも母らしい行動だ。
ただ、父が土曜日に行くようなことを言っていたので、
それならば頼もうかと思っていた。
午前中、整骨院へ行き、そごうで夕食とパンを買い、帰宅した。
父も、まもなく接骨院とスーパーから帰ってきた。
「今日、行けそうか? しんどいんやったら、ワシ、明日行ってくるで」
ワタシが行くことになってるの? とも言えず、
「ちょっと休んでからにする」と、2Fへ上がった。
ベッドに横たわり、兄からもらった「風立ちぬ」のDVDを
ぼーっと見ながら、身体を休めた。
夢と現実が交錯する不思議なストーリーだな・・・。
途中、10分くらいウトウト。
ハッと目覚め、すぐ身体を起こした。
このまま眠ったら、今日行けなくなる。
母の友人から預かった和菓子と、
父の差し入れ(福砂屋のカステラ、おかき)を持って出かけた。
フロアに上がると、母は、他の入居者の方 3人と共同スペースにいた。
「あ、よりちゃん、来てくれた!」
母は、嬉しそうな泣きそうな顔をした。
「昨日、お友達のOさんが来てくれたでしょ」
「うん。長いこといてくれて、嬉しかった」
「ワタシに持って来いって預けた和菓子、持ってきたよ」
「和菓子?」
まったく、とぼけた顔をして。
計算づくの行動のくせに。
・・・とも言えないので、黙って包みを開けた。
ヘルパーさんに、食べて良いか、他の方にも配って良いかを
聞いてから、母に和菓子の箱を渡した。
母は、中身を確認すると、4つに分け、同じテーブルの3人に配った。
「あら、私達にもいただけるの?」
「嬉しいわ」
母は、「いいのよ、気にしなくったって」と、やや優越感にひたっているようだ。
ひとつ、ワタシもおすそ分けでいただいたが、めちゃくちゃ甘い和菓子!
母も他の方も、2つずつ食べていたが、糖分過剰摂取じゃない?
さすがにおかきまで配ろうとした母を、ヘルパーさんが静止した。
「糖尿病の方もいらっしゃるから、これ以上はダメ!」
すると母、自分だけ、おかきをポリポリ食べていた。
ここでとめると、またあのセリフが出てくるのだろう。
「これが最後のおやつになるかもしれない。
明日になったら、食べられないかもしれない」
ヘルパーさんも
「ご機嫌が悪いとき、差し入れのカステラを出すと、
ご機嫌がなおるんですよ」と笑っていた。
最近は、以前と比べ、おとなしくなり、落ち着いてきたとのことだが、
左腕を見ると、またガーゼが2枚貼られていた。
「転んだんですか? それともぶつけたのかしら?」
すぐ看護師さんが説明に来てくれたが、ケガをした原因は不明とのこと。
血がにじんでいるが、本人も痛くないと言う。
痛みに鈍感になってきたのか、
あるいは自業自得だから、何も言わないのか。
母の両腕には、ワタシが持っていったアームカバー・・・
ではなく、薄手のレッグウォーマーが着けられていた。
ヘルパーさんも気づいてない?
まあ、腕の保護になるから、良いか。。。
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