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母のこと(115)

今日は特養で担当者会議があった。
ケアマネジャー、看護師、介護職員(ヘルパー)、栄養士、歯科衛生士が出席し、現状説明と今後の介護プランについて話し合うもの。

特養へ2/22に入所したが、なかなか馴染めなかった。
4月には腸閉塞で10日間入院。
体調もかんばしくなく、退院後も、頭をぶつけたり、感染症になったりと、相談員さんが病院へ連れて行ってくれる等し、事なきを得てきた。
最近、入居者の方とも親しくなり、ようやく特養に慣れてきたかな、というところ。
先週、母のもとへ行った父が、
「お仲間と仲良くしてもらってて、『帰りたい』とも言わんかったし、安心したわ」
と言っていたので、ホッとした。

ところが、今日の担当者会議では、看護師さんが開口一番
「最近、今まで以上に大声を出すようになり、今日の午前中も大荒れでした。
  また帰宅願望が強くなってきたようです」
と言った。
傍にいるケアマネジャーがちょっと眉をしかめた。
会議に同席している母を見ると、
「そうや。帰りたい! ガマンしてるだけや!」と本音をもらした。

話題を変えねば・・・と思い、頬の青あざに着目した。
「あら!  頬に青あざが出来てるやん。 どうしたの?」
「かすった」
「ぶつけたの?  どこで?」
「出っ張ってるとこで」
そう言って、テーブルの角を指した。

すると看護師さんが
「いつの間にか出来てるんです」と答えた。
「2週間前に来たときも、腕にガーゼを貼ってましたよね。治った?」
母の腕をめくろうとすると、
「まだガーゼを貼ってます。治りが早いもので処置しています」
べったり見ることは出来ないと言いたいのだろうが、なんだか言い訳に聞こえてしまう。

ケアマネジャーが話題を変えた。
「食事について、栄養士が説明します」
「お食事は、朝 パン粥、お昼と夕食はお粥にふりかけをかけて、5分刻みのおかずを召し上がっていただいてます。10割食べるときもあれば、5割のときもあります」
「平均すると?」
「7~8割です」
「昨日送っていただいた居室担当のヘルパーさんからのお手紙には、9~10割食べていると記してありましたよ」
「たまに5割のときもあるので、7~8割かな、と思いました」
・・・平均値の求め方が間違ってるんじゃないの?  と思ったが、言うのはやめた。

「お母さん、ご飯美味しい?」
「ご飯は美味しいけど、おかずが美味しくない」
「きざんでるから?」
「うん・・・」
やはり刻み食は原型をとどめていないので、見た目も美味しくないのだろう。

「一口サイズにもどせませんか?」と、切り出した。
「痰のからみや嚥下に問題ないのですが、腸閉塞と食道裂孔症があるので、(腸閉塞退院後)ずっと刻み食なんです。だけど、おやつは標準のものを食べてます」
「それなら、一口サイズにしてもらって、様子見しては?」
「明日の昼から、そのようにします」

簡単に書いたが、この結論に至るまで、ものすごーく時間がかかった。
それぞれの立場と予定で意見を言うので、なかなかまとまらず、かなりイライラした。
どの話でもそうだった。
もう少し簡潔に言えばいいのに、やたらとプロセスの説明が長かった。

結論は、体調も落ち着いており、身体が弱っていることはない。
現状維持のため、できるだけ介護してくれているということだった。

傑作だったのは、会議終了時、「有難うございました」と、口々に言うと、母も深々と頭をさげ、「有難うございました」と言ったこと。
認知症でワケもわからないと思っている看護師は、母の様子に驚いていた。

そして、ワタシはこの看護師の態度に、終始呆れていた。
確かに、母の認知症は進んでいる。
が、礼を尽くすことを重んじる母にとっては、当たり前のこと。
そして、何よりプライドの高い母にとって、小バカにされることは屈辱だ。

「食事の形態をどうしましょう?」と、ケアマネジャーが母に聞いたとき、
「形態なんて言ったって、わからんよ。形って言わないと」と看護師が言った。
「形態くらい、わかるよ」
「この携帯とちがうよ。そしたら、形態って、どういう意味?」
母は手を広げて説明しようとした。
ワタシは、もう少しで怒り爆発するところだったが、ケアマネジャーが察知してくれた。
腹が立つが、看護師には、母の容体を診てもらうので、ひたすら我慢、ガマン・・・である。

会議が終わったあと、おやつの時間。
アップルパイと、差し入れのみつ豆を食べ、ちょっと落ち着いたようだったが、すぐにまた「頭が痛い、全身が痛い」とゴネ出した。
ワタシが行くと、甘え全開になるので、いつものことと思ったが、ヘルパーさんに看護師を呼んでもらった。

「お母さん、さっきの歯抜けの看護師さん・・・歯抜けって言ったらアカンね。あの人が来るから、ちょっと待っててね」
来ても、言うことはわかっていた。
ただ、偏見ではなく、状態を診て、判断してもらいたかった。

しぶしぶやってきた看護師に、
「頭が痛いから、痛みどめが欲しい、と言ってます」と言った。
「痛みどめが出ていれば、出しますが」
「出てると思いますけど?  出てないんですか?」
たぶん、ワタシの表情は怒っていたのだと思う。
あわてて「調べてきます」と看護師が調べに行った。

気を利かせたヘルパーさんが血圧と体温を測ってくれた。
血圧も体温も正常だった。
その数値を見て、
「痛みどめは出ています。ただ、痛みどめを飲むと、血圧が下がるので、これ以上下がると、逆に頭が痛くなるかも。飲まないほうが良いと思います。少し横になられては?」
「痛みどめはロキソニン?」
「そうです」
ロキソニンなら、状態によってはあり得るかもしれない。
薬をあきらめて、休むほうがいいかも。
ちょうどズボンが食べカスで汚れていたので、着替えも兼ね、居室へもどった。

居室にもどると、横になるどころか、ベッドに座り、父と電話で話したいと言い出した。
電話が終わると、何か食べたい。
近くのコンビニへ買いに行き、戻ってくると、共同居室に居た。
「おとなしく待っててね」という言葉は通用しなかったようだ。
海苔巻きを食べ、母の機嫌はようやくなおった。
まるで子供である。
母本人もそう言っている。

夕食が始まり、そろそろ帰ろうとすると、
「明日休み?」と母がワタシに聞く。
「仕事」
「明日、休んで、私の世話して」
「休めないよ。また来週来るからね。お父さんも来てくれるよ」
「うん・・・」

母は、ガマンしながら、食事を続けた。
ワタシは明るく、「有難うございました。これで失礼しますね」
と挨拶をし、母のほうを振り向かず、そのままエレベータに乗った。
ワタシにとっても、帰るときはツライ。

出口で、ケアマネジャーさんに会った。
礼を述べると、
「すみません、看護師がごちゃごちゃ言って」とあやまってくれた。
「いえいえ。気にしてませんよ。あれから頭が痛いと言い出して、診てもらいました」
「え?」
「大丈夫ですよ。おかきを食べたら、機嫌が治りましたから」
「有難うございます」
「こちらこそ。これからもよろしくお願いしますね」
「はい」
ケアマネジャーさんは、とても疲れた顔をしていた。
しんどい仕事なんだろうな、ケアマネって。
ヘルパーさんもしかり。
人手不足で、現場は大変だ。
このスタッフさんの力で、母は毎日不自由なく暮らしている。
本当に有難いことだ。

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