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母のこと(118)

「花子とアン」の総集編(前編)を見ていたら、寝そびれてしまった。
2時過ぎにようやく寝て、起きたのは9時すぎ。
下に降りると、父も寝苦しくて、眠れなかったという。

「お昼は宅配でもとるか?」
「そうね・・・。でも、ワタシの夕食、なーんにもないから、
  どうせ買いに行かないといけないし」

今週の「花子とアン」を見てから、三宮へ市バス出かけた。
暑いけれど、まだ風があるだけマシかな。

オーエスドラッグへ寄り、頼まれていた薬を買った。
さてお昼は何を食べようかな。
お寿司・・・って気分でもないなぁ。
そうだ、三宮一貫楼のちび豚まんにしよう。
いかりへまわり、牛肉、サラダ、好みちゃん、荒神松を買った。
そのあと、そごうでポートピアホテルのオムライスセット、ピロシキ、ドンクのパンを買い、帰宅した。

「暑かったやろ」と父が労ってくれたが、答える気になれないほど暑かった。
ちび豚まんを食べてから、少し横になった。
30分ほど眠ったようだ。

「じゃあ、今からお母さんのところへ行ってくるね」
「もう行くの?」
「ガソリンも入れないといけないから」
「暑いから、気つけてな」

外はまだ暑かった。
なるべく日陰をとおりながら、車を取りに行き、ガソリンスタンドへ寄ってから、母のもとへ。
受付で健康保険証を預かってもらい、相談員さんと話をした。

一昨日、ベッド柵カバーのことで相談員さんから電話があった。
「購入されますか?」と聞かれたが、
「現物を見てからにさせてください。ヘルパーさんの意見も聞きたいですし」
と答えておいた。

「柵につけているので、ご覧になってください。価格は7,000円ほどです。1週間リースしてますので、これで良いとおっしゃるなら購入します」
「効果があるようであれば、購入してもらって構いませんが、お電話で申し上げたとおり、現物を見ないと、なんとも・・・。ところで、母は機嫌よくしてますか?」
「今日は顔そりをされました。最初はイヤって仰ってたんですけど、娘さんが頼んでると申し上げたら、機嫌よくうけられました。あと、1Fのラウンジでおやつを召し上がりました」
「いつもすみません・・・。有難うございます。じゃあ、母のところへ行ってきますね」

フロアに上がり、担当表で、居室担当のヘルパーさんが出勤しているかを確認した。
遅出・・・ということは、出勤されている。
良かった、と思ったとたん、居室担当のヘルパーさんが出てきた。
「お久しぶりね。最近、全然会えなかったから」
「ローテーションが合わなくて」
「ベッド柵カバーを借りたようなんだけど、一度見てもらえます?」
「あ、そうなんですか?  昨日、一昨日とお休みいただいてたので。見に行きます」

共同居室をのぞくと、母の姿はなかった。
あれ?  今日は居室にいるのかな?
部屋に向かうと、車椅子に乗った母がいた。

「お母さん!」と声をかけると、
「あ、お母さん!」と母。
いやいや、ワタシは母ではなく娘だ。
1週間会わないと、娘も忘れるのかね?

部屋に入り、ヘルパーさんにベッド柵カバーを見てもらった。
「うーん・・・。もうちょっとクッション性があったほうが良いんだけど・・・。
  結構、手の力が強くて、柵をバンバン叩くから・・・」
母のほうを振り返りながら、
「やっぱり叩いてますか?」と言うと、
「叩いてへんで!」と母。
「はいはい、お父さんが叩いてるねんね」
「そう!  お父さんや!」
悪いことは何でも父のせい。

「お母さん、このカバーどう?  前のピンクのカバーと比べたら、どっちがいい?」
「前のほうがいい。今のは色が悪い」
ヘルパーさんも、これを聞いて苦笑い。
母にとっては、機能より見た目なのだ。

「担当者会議で、前より帰宅願望が強くなったとか、大きな声を出すとかって、看護師さんから言われましたけど、ほんと?」
「うーん・・・。時々、大きな声を出すけど、さほど変わってないですね・・・。荒れてるときは、ベッドの上で暴れてたりするけど」
「ベッドの上で暴れるの、お母さん?」
「暴れへん!」
「ああ、暴れてるのはお父さんね」
「そうや、お父さんが暴れとる」
やはり、母にとっては、何でも父が悪いのだ。

たとえば、特養に入居させられていることも、
「お父さんが勝手に決めた。私の家はここやって言うねん。前の家を売ってしもて。私は前の家に帰りたいのに・・・」と、父のせい。

「お金もない、指輪もない、時計もない。盗られた!」と言うので、
「お父さんが預かってくれてるよ。電話するから聞いてみ」
そう言って、父に電話した。
「あ、お父さん!  中国へ一緒に行ったとき、お金も指輪も時計もなくなったでしょう。お父さんが預かってるの?  なんで預かってるって教えてくれへんの?  ない、ない、って大騒ぎやってんで!」
母は大声で父を怒鳴りつけていた。
因みに、母は父と一緒に中国へ行っていない。外国どころか瀬戸内海を越えたこともない。

ひとしきり父を罵倒して、血圧が一気に上がったのか、気分が悪いと言い出した。
今度は「頭が痛い、胸が苦しい」である。
「看護師さんを呼ぼうか?」
「苦しい」
とりあえずナースコールを鳴らした。
「電話の前に、プリンとおかき、それにオランジーノを飲んだせいとちがうの?」
「そんなことない!」
見る限り元気そうだが、まあ診てもらうことにした。
看護師さんを待つ間、ベッドに横たわった母の首と肩をマッサージした。
マッサージしている間は、すこぶるおとなしい。
「寝てんの?」
「起きてる」
「しゃべらへんから、寝てるんかと思ったわ」
「気持ちええねん」
「ああ、そう・・・」

看護師さんが来てくれたときには、母は元気になっていた。
それでも、お腹が苦しいと、うったえる。
「さっきまで胸が苦しいって言ってましたけど、だんだん下へ移動してますね。
他の方にも見られることですが、家族さんがいらっしゃると、『痛い』とか『薬をちょうだい』って甘えはるんですよ」
あらためて言われなくても、知っている。
一応、看護師さんに診てもらい、問題ないと言ってもらえれば、安心するのだから。
事実、母は「どこも悪ない?  どうもない?」と聞く。

そうこうしているうちに、
「夕食の準備ができましたよ」と、ヘルパーさんが呼びに来た。
「お母さん、晩御飯、食べに行こう」
「ここに持ってきてくれへんの?」
「食堂で食べる決まりやからね、行こうね」

ベッドから起き上がるとき、車椅子に乗り移るとき、母は少しの介助で立ち上がることが出来た。
以前より、回復しているな・・・と思う。

いつものように、母が夕食をとり始めたところで、帰ってきた。
今日はもう少しいようかとも思ったが、母のマッサージに精を出したせいか、首が痛くなってきたので、断念した。

母は「早く死にたい」と言いながらも、小さい身体で、必死に生きようとしている。
叔母が言っていたけれど、「私らきょうだいは、丈夫に生まれ育ってきた」からなのかもしれない。
それに比べ、ワタシはずいぶん病弱だ。
このまま母の年齢になったとき・・・
考えるだけでも、ぞっとする。。。

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