母のこと(120)
平日の母がどんなふうに過ごしているのか、様子を見に行った。
フロアに着くと、共同居室に母の姿はなく、トイレから大きな声が聞こえてきた。
母だ。
ドアの隙間からのぞくと、母がいた。
「お母さん」と手を振ると、
「あ! そこにおって!」と母。
母は、男性のヘルパーさんが苦手である。
年寄といえど、母も女性。
父は別として、他人の男性に、下の世話をされることには抵抗感がある。
トイレから出てきた母の複雑な表情といったら・・・。
なんとも言えない。
持参したおかきを出し、ご機嫌をとる。
おかきを食べている間は、夢中になっているので、ゴネることはない。
が、食べ終えると、一気に吹き出す。
主張したいがゆえ、声も大きく、ハタ迷惑である。
居室に行き、父に電話をかけることにした。
父は、母のグチを一身に受けてくれる。
果たして話が通じているのか、定かではないところもあるが、話をすることが大事なのだ。
老いた両親の、一種ゆがんだ愛情表現・・・かな。
電話のあとは、例によって、
「苦しい」と「早く死んでしまいたい」の繰り返し。
今日は医療マッサージを受けていたので、感想を聞くと、
「女の人やから、上手」と言っていた。
「良かったね。お父さんが手続きしてくれたんよ」
すると母、
「だからヘタクソなんや。ちっとも効かへん!」
父が手続きしたと言ったとたん、さっきとは正反対の感想となる。
いやはや、なんとも言い難い。
「ハルエちゃんに、お返事、書かない?」についても、
「ハガキくらいなら書ける」と答え、
時間を置いて聞くと、
「書く気がしない」になる。
ふなっしー音声ぬいぐるみを聞かせてみた。
「ふなっしー なっしー」から「今日も一日お疲れさまなっしー」である。
ギョッ! と驚き、怪訝そうな母。
よく聞きとれなかったのかと思い、
「どう? もう一回聞く?」と言うと、
「もう、ええ!」
「あ、そう・・・」
母には刺激的だったかも?
夕食が始まり (今日は枝豆ご飯、肉じゃが、疑似豆腐、酢の物、味噌汁)
いつものように
「また来るからね。バイバイ」と言って帰ってきた。
平日の母の様子といっても、
よく考えてみれば、母にとっては平日も休日もない。
これはワタシの身勝手な考えだと。。。
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