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母のこと(123)

「黒十」でランチをいただいたあと、
叔母、従姉と連れだって、母のもとへ。

フロアに上がると、
「夏祭り(8/9)のあと、大変だったんですよー」とヘルパーさん。
「どうしました?」
「お父さんと娘さんを呼んでって・・・」
それはいつものこと、とも言えないので、苦笑した。

居室のドアを開けると、ちょうど医療マッサージが終わったところだった。
水曜日と金曜日に来てもらっている。
優しそうな女性の施術師さんだった。

叔母を見た母が、「あ! サナエちゃん!」と、久々に名前で呼んだ。
妹という認識はあるのだが、しばらく叔母の名前を忘れていた。
これはまずいと思い、部屋の壁に、名前付きの写真を貼っておいた。

ところが、従姉を見ても「誰かわからない」。
「チーちゃんよ」と言うと、
「ああ、髪の毛が短いから、わからんかった」と応えた。
果たして、姪とわかっているのだろうか。
伯母の娘であることを織り交ぜながら、話をすると、
「ウン、ウン」と頷いていた。
(母はわかっていなくても、「ウン、ウン」と頷くのだが。)

叔母と従姉、それにワタシのお土産を広げると、
さっそく母の手がお菓子にのびる。
クッキー、マロングラッセ、フルーツゼリー。
ああ、そんなに食べたら、またお腹が苦しいと言い出すに決まっている。
ましてや、もうすぐおやつの時間。
「これぐらいにしとこうね」と制止しても、
「何にも食べさせてもらってないねん。お腹ペコペコやねん」とくる。

案の定、おやつを食べたあと、「苦しい」、「もう帰りたい」、「早く死にたい」を連発。
叔母も従姉も帰ったあとだったので、ワタシ一人で、母の相手をするのもツライ。
こういうときは、お父さんの出番よね、と父に電話をかけた。

「どないしたんや?」
「苦しいねん。もうこんな苦しい思いをするなら、早く死んでしまいたい」
「そんなこと言わんと」
「ほんまや。お父さんにも、もう会われへんと思うわ」
「電話で話をするだけやったら、アカンか」
「電話で話だけやのうて、会いたい。そやけど、次に会うときまで、生きてるかどうか、わからへん」
「そんなこと言わんと、元気でおって。会いに行くから」
「来てくれる?」
「うん、行くよ」
「うん、待ってる」

父との電話のあと、しばらくウトウトとし、目覚めると、また「苦しい」。
ヘルパーさんに連絡すると、看護師さんがやってきて、
「腸が動いてるから、便が出るわ。もうちょっとの辛抱よ」。
「ほんまに?  治るの?」
「治る、治る」
「信用していいの?」
「そうよ。ほら、いつもの元気が出てきたね」
「元気出てない、しんどい!」
いやいや、それだけ大きな声が出ていたら、十分元気だよ、お母さん。

元気も出てきたことだし、そろそろ帰ろうかな・・・と思うと、
母はすかさず察知する。
「帰るの?  もうちょっと居って」。
挙句、「今日はここに泊まり」。

「また来るからね」
「一回家に帰ってから、戻ってくるの?」
「うん、戻ってくる」
「そしたら、待ってる」

ワタシが帰ったあと、
母は「呼び戻して。電話して」と、うったえているらしい。
そんな母をなだめてくれるヘルパーさんには、頭が下がる思いである。

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