小説 「突然バーン!」
「突然バーン!」 とうの よりこ
「右肩の調子はどう?すこしは痛み、なくなった?」
右肩を骨折した私を心配して、瑞希からメールが届いた。
「ゴルフにも行けず、ヒマなの。お茶しようよ」と返信した。
待ち合せは、諏訪山の「フーケ庵」に決めた。
ここなら徒歩で行けるし、人通りの多い三宮や元町だと疲れるだろうという瑞希の配慮からである。
瑞希は「和梨のタルト」とミルクティ、私は「キャラメル・ラフランス」とカフェオレをオーダーした。
「ごめんね、こっちまで来てもらって」
「いいよ。市バスに乗るだけだし。仕事は?疲れるでしょ」
「うん、まあね。コルセットに縛られてるから」
服の隙間から、肩に装着したコルセットを見せた。
「あ、そういうの、着けてるんだ。へぇー」
「姿勢よくなりそうでしょ」
「ほんと。自分で着けられるの?」
「まさか。右手はまだ後ろにまわらないから、母に着けてもらってる。『介護保険料払ってる老人に介護されてる娘』って、皮肉られてるわよ」
「全快したら、お母さんを慰労しないとダメよ」
「そうね。まだ先のことだけど・・・」
全治まで、まだまだかかる。私は少し目を伏せた。
そんな私の様子を見て、瑞希が言った。
「最近の話なんだけどさ、ウチの母親から、またケッサクなメールが届いたのよ」
瑞希の母といえば、デジカメ紛失のときといい、数々の逸話がある。
「なに、なに?」
私は身を乗り出した。
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