エッセイ

病は気から

カイシャ帰り、ふと病院へ寄ろうと思いたつ。

カゼがスッキリしない。
なんとなくだるい。
カゼ薬もなくなってきた。

バスを途中下車して、かかりつけのN先生のもとへ。
病院のドアを開けると、6時半すぎというのに、
案外患者さんが多い。

「今日はどうしました?カゼ?」
受付で聞かれ、マスクを外しながら、
「薬をもらおうと思って。・・・多いわね?」
待合室に目を遣ると、
「ああ・・・」と、看護師さんが苦笑い。
「まあ、しばしお待ちを」

ソファに座って、順番を待つ。
待っている間に、他の患者さんをちらっと見る。
何人いるかで、だいたい待ち時間がわかる。

おじいさんと男性と子供。
おじいさんに付き添って来ている父子だろう。
3人とも顔がよく似ているもの。
もう診察が終わって、精算待ちかな。

離れて男性ひとり。
診察待ちのようだから、ワタシはこの人の次になる。
7時前くらいになるなー。

まもなく、さきほどの3人が精算をして帰って行った。
少し経って、診察室から一人女性が出てきたので、
男性が診察室へ。
6時45分。
N先生の診察は、5分~10分。
長い人なら、20分くらいかかる。

時計とにらめっこしていると、看護師さんが体温計を
持ってきた。
例のテルモの電子体温計。
ちょっと体温が高く出るヤツ。
測ると、37.4度。
他の体温計なら、36.8~37.0くらいかしら。
まあ微熱程度。

測り終えると、N先生に呼ばれた。
荷物を置いて、席に着くと、
「はぁ~」と、N先生のためいき。
どっちが患者なんだか、えらくお疲れのご様子。

「カゼ、まだ良くならない?」
「スッキリはしてないわね。カゼひきそうなトコへ行くから」
「ああ、休日のゴルフね。寒いのに、よく行くね」
「ほんとにねー」

ノドを診てもらい、
「抗生物質は、もう要らないね。ノドとくしゃみのほかは?」
「痰が出るのと、アタマ痛。今日はゾーミック(頭痛薬)を飲んできたの」
「前より飲む回数が増えてる?」

少し考える。

「頭痛が集中するときがあって、そのときは飲むけど・・・」
「月5回くらい?」
「そんなものかしら」

実のところ、何回なんて数えたことがないので、
5回は適当。

「じゃあ、今日はカゼの薬と・・・ゾーミックはどうする?」
「あ、いくつか」

すると、N先生はカルテに5Tと書いた。
5T=5錠である。

「これから忘年会とか多いの?」
「うーん・・・。3回かな。今年は少ないわよ」
「そう。あまり遅くなって、オオカミに襲われないようにね」

そう言われて、プッと笑ってしまった。
「襲ってくれるオオカミなんて、いないわよー」

するとN先生。
「じゃあ、ボクが襲っちゃおうかなー。
 でも、ブーツで蹴っ飛ばされそうだねー」
と、軽くジョークをとばす。

「そんな足癖、悪くないですよ」
「お上品だものね」

時計を見ると、もう7時。
薬局が閉まってしまう。

「じゃあ、先生。ありがとうございました」
「はーい。またね」

いつもこんな風に診察が終わり、心身ともラクになる。
心のカウンセリングってところかしら。

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休暇の過ごし方(1)

いつもと同じ時間にテレビがつく。
ニュースは、市橋容疑者のコトばかり。
明るいニュースが欲しいなぁと思いつつ、そのまま見てしまう。
今日は休暇をとったので、朝ゆっくり出来るから。
とはいえ、そんなにのんびりもしてられない。
予約の時間がある。

今日は延び延びになっていた検査の日。
もっともこれはワタシの都合。
特別悪くもないので、もう少し先でもいいかと予約をとらずにいた。

もうひとつ理由がある。
その病院は、自動音声による電話予約制で、最初に病院長の挨拶から始まる。
これがまた長い。
ようやく終わると、プッシュホンで診察券番号、予約したい先生の番号を押して、やっと予約日が入れられる。
ところが、予約日がすでにいっぱいで取れないとなると、再度入れる必要がある。
これもダメなら、「おかけ直しください」とアナウンスが流れるので、ここでめげてしまう。

「Webで予約できたらいいのに・・・」
そんなことを思いながら、1週間前、偶然サイトを見つけた。
いつの間か、PCと携帯の予約サイトが開設されていた。
空いている日を見ると、土曜日は1ヶ月以上先。
やはり平日しか無い。
出来れば午前中の早い時間のほうが良い。
遅くなればなるほど、待ち時間が長くなる。
1週間後の9時半に予約を入れた。
これなら後の時間を有効に使えるだろう。

(つづく)

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思い出は限りなく

コネタマ参加中: あなたのおじいちゃん・おばあちゃん自慢、聞かせて!

父方の祖父も母方の祖父も、
ワタシが産まれる前に他界したので、
おじいちゃんを知らない。

父方の祖母は小学生の頃、他界した。
母とは折り合いが悪かったため、ちょっと馴染みが薄い。

その代わり、母方の祖母は近所に住んでいたこともあり、
ずいぶん可愛がってもらった。
但し、これはワタシに限らない。
孫はもちろん、甥や姪、その子供達にまんべんなく愛情を注いだ。

もっとも母に言わせれば、
「我が子より、本家の子供を大事にした」らしく、
貧乏なくせに気前のいい、いかにも明治女そのものだったという。

子供の頃、病弱だったワタシは、しょっちゅう熱を出しては寝こんでいた。
母はワタシの看病ばかりしているわけにもいかず、
眠ったところを見はからって、買い物に出かけた。
目を覚ますと、母がいない。
急に不安になる。
そうはいっても、熱があるから、身動きがとれない。
そのうち、またうつらうつら眠る。
次に目が覚めたとき、枕元に祖母が座っていた。
心配そうに、ワタシを見ている。
「また熱、出したんか」
そう言って、おでこをさすってくれる。
ワタシは安心して、また眠りにおちる。
祖母は、母が帰ってくるまで、じーっと側に居てくれた。

社会人になった年、祖母は88歳で大往生をとげた。
思い出は、語りつくせぬほど。
晩年、寝たきりになった祖母は、実家が零落して神戸に
出てきてから結婚するまでのできごとを話してくれた。

いつか小説にしたいと思っている。

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「雨の日の思い出」

コネタマ参加中: 線香花火のような、はかなく切ない思い出募集

下校の時間になって、急な雨。

「雨やー。ショック!天気予報、雨や、言うとったんか?」
「天気予報、見とうんか?」
「言うてみただけや。カサ持ってきてへんねん」
「オレもや。家まで競争やなっ」

そんな同級生の会話を聞きながら、ワタシは友人と家路へ。
「朝、お母さんにカサ持っていき、言われてん。持ってきてよかった」
「ほんまやねー」
「天気予報、見てる?」
「うーん・・・。あんまり見てへん」
「ワタシも。遠足の時は見るけど」
「おんなじ」

途中で「じゃあ、また明日ね。バイバイ」と、いつもの場所で友人とわかれ、自宅へ向かった。

お母さん、いるかなー。お買い物行ってるかなー。
小学生の頃、まだ家のカギを持たされていなかったため、母が不在の時は、祖母の家へ向かうようにしていた。
門の扉は閉まっていた。
やっぱり、母はいない。
どうしようかな、お祖母ちゃんのところへ行こうかな。
しばらく、家の前で待っていようかな。

そんなことを考えていると、見慣れた顔が見えた。
ひとつ年上のR君。

家も近所で、同じピアノ教室に通っていた。
母親同士が呼ぶせいだろうか。
彼も、最初からワタシのことを名前で呼び、えらくなれなれしかった。
ピアノ教室でおしゃべりしたり、たまに休み時間、運動場で遊ぶこともあった。
が、ひとつでも学年が違う男子と遊んでいると、
「6年生と遊んでたやろー」
などと同級生にからかわれ、そう言われるのが鬱陶しくもあった。

ある日、ちょっとした言い合いになった。
たわいもないことで、ケンカでもない。
ちょうどベルが鳴ったから、「じゃあね」と急いで教室に戻ろうとすると、背後からものすごいチカラで引っ張られた。
「授業が始まるよー」と言ったとき、初めて状況に気づいた。

R君に抱きしめられている。
な、なんで!?
アタマが真っ白になった。
同時に、通り過ぎていく生徒の目が気になり・・・。

そう、ここは小学校。
そして、その運動場の真ん中。
全校生徒の見守るなかで、男子生徒に抱きしめられている。
ワタシは5年生で、彼は6年生。
まだラブシーンを演じるには、コドモだ。

「やめて」という声すら出ず、長い時間に感じた。
しばらくして、R君のチカラが抜けたので、彼の腕をふりほどき、急いで走り出した。

教室に帰ると、ヤンヤの騒ぎ。
「わーっ!抱きしめられてやんの、コイツ!」
盛んに茶化す同級生の男子。

「うるさいっ!!!」
怒鳴ると、しーんとした。
コソコソ話をしている様子だったが、それを相手にする気にもなれなかった。

恥かしかったし、腹も立っていたし、なんであんなことをしたのかわからなかったし、
それに・・・それに・・・。

以来、R君とは顔を合わさないようにした。
姿が見えると、物陰に隠れ、ピアノ教室の時間もずらした。

だけど、今日は家の前。
扉は閉まっているし、向こうも気づいているし、今更隠れるところもない。
見ると、R君はカサを持っていないので、ずぶ濡れ。

一歩一歩近づいてくる。
どうしよう・・・、どうしよう・・・。
ワタシはカサを握りしめたまま、R君の顔を見つめた。
彼もワタシを見たまま、通り過ぎていった。

「カサ、どうぞ」

そのひと言がどうして言えなかったのだろう。
あんなことがあったとはいえ、ずぶ濡れの幼馴染。
逆の立場なら、カサをすっと貸すのは道理だ。

なのに、その言葉が出てこなかった。
しばらく、彼の背中を見送ったが、ワタシを振り返ることもなく、やがて曲がり角で姿は消えた。

R君は、先に小学校を卒業し、公立中学へ進んだ。
1年後、ワタシは私立中学へ進学したため、会うこともなくなった。
ピアノ教室も、時期のずれはあるが、二人とも辞めてしまった。

高校は進学校へ、大学は東北へ進学したと聞いた。
何年かして、結婚したとも、子供が産まれたとも聞いた。
本人からではない。
母から聞いたり、彼のお母さんから聞いたり。

彼のお母さんには今でも時々、道で会う。

しかし、彼に会ったことはない。
あの日、あの雨の日以来、一度も・・・。

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「我が家にWiiがやってきた」(1)

「我が家にWiiがやってきた」(1)


瑞希とご飯を食べに行ったときのこと。
ふとしたことから、冷蔵庫を買い替えたという話になった。
「この間、テレビを買い替えたとこでしょ?今度は冷蔵庫なの?」
私がそう言うと、瑞希は肩をすくめた。
「一気に寿命がきたみたいなのよ」

「突然バーン!」とブラックアウトしたテレビに引き続き、今度は冷蔵庫がブーンと異音を出し始めた。
「寿命だ」と電器店の店員に言われ、買い替えを決意したという。
パスタを口にほうばりながら、瑞希がぼやく。
「新しい冷蔵庫ね、冷凍室が一番下にあるのよ。いままでは野菜庫だったのね。だから、野菜を取ろうと思うと、ついクセで開けちゃうの。最初は慣れなくて、『どこ?ここか?』って、食事の支度のたび、母と2人で全部の扉をバンバン開け閉めしたわよ~」
冷蔵庫の前で悪戦苦闘している母娘の様子が目に浮かび、苦笑した。
すると、「いまは、もう慣れたわよ!」と、瑞希は念を押した。

「それより、もっと手ごわいものがやってきたの」
「手ごわいもの」と聞けば、自然と興味がそそる。
「なに?」
「Wiiよ」
私は聞きなおした。
しかし、答えは同じ。
「Wii」である。
なんでも、瑞希の父の古希のお祝いにと、弟の俊一が贈ってくれたのだ。
「そうなのよ。ついに我が家にWiiがやってきたのよ」
瑞希は目を輝かしながら、話を続けた。

とある日曜日。
俊一がプレゼントをかかえて、マンションを訪れた。
箱には、「Wii」と記してある。
両親にしてみれば、「コマーシャルでやってるもの」くらいの認識しかない。
贈られた父は、「なぜWiiなんだ」と訝しく遠目で見るだけ。
嬉々としてプレゼントを開けるのは、母。
そして、「これはなに?」と、しげしげ眺める。
弟の俊一が答える。
「それは『Wii Sports』。ソフトだよ。テニス、野球、ゴルフ、ボーリング、ボクシングができるもの」
「ええっ、そんなに出来ちゃうの?まあ、すごい」

次に開けたのは、「Wii Fit」。
今度は、母が聞く前に、俊一は説明した。
「テレビのCMでやってるでしょ。ヨガのポーズとか」
「あっ、のっかる台ねっ!」
のっかる台って、まあそうだけど。
とにかく母は無邪気である。

セッティングは、当然、俊一の担当。
彼の自宅にもあるので、手慣れたものだ。
その割に時間がかかるのは、彼が案外几帳面なせいで、配線がすっきりしないと気にくわないのだ。
追いうちをかけるように、横から母がつぶやく。
「線をぬいちゃったら、どこにさせばいいかわからなくなるから、わかるようにしといてね」
「あとで、印でもつけておくよ」

それにしても、マメな弟である。
瑞希は、彼の背中を遠目で見ながら、感心した。

さて、夕食のあと、はじめての「Wii」体験。
「何にする?」と、母が父に聞いた。
これは、父への贈り物だから。

「何でもいい」
父はあまり関心がなさそうである。
「じゃあ、ゴルフにしましょうか。俊一、ゴルフよ」
「はい、はい」
母に言われて、俊一はゴルフを選択した。

                        (つづく)

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ガソリンスタンドで

目が覚めたのは、10時前。
ほんと、最近休日の起床時間が遅い。
疲れているだろうからと、母も起こさない。
だから、いつまでも寝ていて、ほっといたら、昼近くまで、ぐーぐー。

「ビゴの店」のピザ(最近、我が家のブーム)を食べて、
明日はゴルフなので、ガソリン大丈夫かしら?と、車を見ると、
えらく汚い。

そういえば、長いこと洗車してなかったっけ?
いつも、洗車が混んでるから、
「次にするわ」
と、帰ってきていた。
今日あたりなら、空いてるかな、とガソリンスタンドへ。

着くと、いつものお兄さんが出迎えてくれた。
「すぐ出来ますよ」
ラッキー。
待ち時間ナシ。

「どのコースにします?撥水がおすすめですけど」
「ああ、じゃあそれで。室内もお願いします」

店内で、ゴルフ雑誌を読みながら、洗車が終わるのを待つことに。
普段、あまりゴルフ雑誌に目を通すことはないので、
「へぇー、スライスって、こういう原因で起こるのかー」
なんて、感心しながら読む。

ちょうど1冊読んだ頃に、呼ばれた。
「お待たせしました。・・・それにしても、相変わらず乗ってないですね」
「そお?お買い物とゴルフくらいだから」
「1年1000キロくらいじゃないですか?維持費が高いんだから、もっと乗ってくださいね」
「そうねー」

そう。
最近、あまり乗ってない。
休日も、車で出かけていないし、特に理由はないけれど、なんとなく。
でも、無いと不便。

そういえば、今日のニュースを見ていたら、一部の高速道路で、土日の通行料が1000円になったとか。
明石海峡大橋も該当するらしく、普段の3倍の車が走ったらしい。
ただし、ETCが搭載されてないと適用外。
ワタシの車には、ETCをつけてないから、適用されない。
だからって、あまり高速を利用しないので、ETCをつけたいとも思わないけれど。

それより、たこフェリー。
1000円の影響で、利用者が少なくなると予測されている。
だから、いろいろアイデアを出していて、その中のひとつにある
「たこフェリー+温泉=980円」。
ゆったりとフェリーに乗って、淡路島へ渡り、露天風呂につかって帰ってくる。

なんだか、のどかー。
高速だと、シュッと走っちゃうから、景色どころじゃないけれど、フェリーなら、潮風と景色を満喫できる。

「乗ってみたいなー。たこフェリー」
「え?明石の?」
「ああ、なんでもないです」
「たこフェリーじゃなくて、車ですよ。乗ってくださいって言ったのは」
「わかってまーす」

店のお兄さんに見送られ、ガソリンスタンドを後にした。
このまま遠出・・・は、やめておこう。
明日はゴルフだから。

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メガネを買いに(4)

世界中の子供たちを笑顔にしたい。
BYJ meganeichiba Smile Project
      I Wish

そう書かれたポスターには、
笑顔のヨン様と子供たちがうつってます。

「眼鏡市場」の店内に飾ってあるポスターとは、
異なる雰囲気。
だけど、やっぱりヨン様スマイル。

しばらくポスターを眺めていましたが、
「ところで、肝心のメガネは?」
と母に聞かれ、思わず苦笑。

「メガネは明日のお昼には仕上がるの。
 なんだか、ポスターをもらいに行ったみたいね」
「ほんとね」

まあ、母も喜んでいることだし、
すぐメガネも仕上がってくることだし。

ただ、時間をおいて受け取ると、メガネの印象が
少し違って見えることが、ちょっと心配。
特に、衝動買いの場合は。


☆「眼鏡市場」でもらったポスター☆
   丸めていたのを撮ったので、
   ちょっと歪んでしまいました。。。
Meganeichiba_yonsama

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メガネを買いに(3)

「メガネを買いに」(1)から1年。
やっとメガネを買いました。
買うまでは、面倒くさいとか、気分がのらないとか。
先にコンタクトを買い替えたから、もうメガネは要らないとか。

その日、別にメガネを買いに出かけたわけでもなく、
たまたま「眼鏡市場」へ入り、何点かかけてみたら、
たまたま似合うメガネがあり、
「じゃあ、これ」と。

つまり衝動買い。
フレームは、セリーヌ。
ミーハーなワタシとしては、いかにもって感じかな。

お休みの日ということもあり、検査待ちに時間がかかると
いうので、番号札をもらい、先に用事をすませることに。
じーっと待ってなきゃいけないとなると、
「もういいわー」って帰ってたかもね。

「普段はコンタクトですか?」
「はい」
「ハードですか?ソフトですか?」
「ハードです」

こんな会話をしながら、検査を進めていきます。
お店の人が言うのには、
「ハードをご使用の方は、メガネの度を強くしてほしいと
 仰るんです。長時間だと疲れるので、ゆるいほうが
 お勧めですが、試しながら、決めましょう」

ソフトとハードで、そんな違いがあるのかしら。
まぁ、しっくりくるほうを選べばいいことだし。

結局選んだのは、やっぱり強い度。
ほんとに、明るくしっかり見えます。
勿論、コンタクトのほうがよく見えるけど。

普段は即日出来るけど、レンズが準備できないので、
翌日の仕上がりになるとか。
別に急がないので、
「いいですよ」と、支払いだけすませました。

手続きを終えると、店員さんがポスターを差出し、
「コドモ達とうつってるポスターです」
と解説。

そうそう。
フレームを選んだときに、
「ヨン様のポスターがあったら、ちょうだい」
と頼んだのでした。

帰宅して、母に渡すと、さっそく広げて、大喜び。
「もう、ポスターもらっても、飾るところがないわよー」
なんて言ってたくせに。

「コドモ達とうつってる」と言っていた通り、
大勢のコドモ達に囲まれて、笑顔のヨン様がうつってました。

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ひと足早いクリスマス(終)

楽しいひととき。

あたたかいコーヒーを飲み、一息ついたところで、兄が切り出した。
「さてと、そろそろ失礼しようか」
「そうね。高速(道路)も空いてる時間帯になったことだし」

運転するのは義姉。
兄は運転免許を取り損ね、甥っ子は免許取得可能な年齢に達していない。
乗せてもらっている身なのに、二人とも文句だけは人一倍。
地図を見ながら、
「こっちのほうが近道だ」
と言うとおりにしたら、一方通行を逆走しかける羽目になったり、
どんどん目的地から遠ざかったり。

カーナビをつけたので、やれやれと思ったら、
「テレビが見たい」
「面白いDVDがあるんだ」
と言う始末。
あげく、二人してグーグー寝る始末。

義姉が気の毒に思えてくる。
「ほんとに大変ねー。大きな子供を二人かかえて」
「ほんまっ!その通り!」
態度のデカい兄と、図体のデカい甥っ子。
女二人して大笑いである。

「さぁ、帰るぞー!」
兄が号令をかけると、甥っ子はまだテレビの続きを見ていたい様子で、
ゴロゴロしている。
幼い頃なら、
「ボク、お泊りする」と言うところだが、もはや高校生。
さすがにそんなことは言わない。

渋々腰をあげて、帰り仕度をした。
せっかちな兄は、
「じゃ、どうもどうも。お世話さまでした」
と帰っていき、追いかけるように、続いて義姉。

甥っ子は、いつも最後に我が家を後にする。
まず父に礼を述べてから、玄関先に居る母に挨拶する。
幼い頃から世話になった父と母には、礼儀正しい。

「有難うございました。また来ます」
「勉強、頑張りなさい。次はお正月ね」

因みに、私とは友達感覚なので、軽ーく
「じゃあね、またね」程度である。

三人が帰った瞬間、我が家は静けさをとり戻す。
「なんだか疲れたわねー」
「ほんとねぇ」
そう言いながらも、にぎやかに夕食をとり、たわいもない話をし、
一緒にテレビを見て笑う。
そんな楽しいひとときを過ごせたと、父も母も、そして私も大満足なのだ。


エッセイ「ひと足早いクリスマス」(終)〔2009年1月28日 by とうのよりこ〕

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ひと足早いクリスマス(10)

人生、山あり谷あり。

そんな話をするうち、兄も私もどんよりとした気分になってしまった。
出るのは、ため息ばかり。

暗い空気を察した甥っ子は、父の部屋へテレビを見に行ってしまい、
義姉が気まずそうに、かといって、席をはずせずにいる。

何かきっかけを作らなきゃと、思いつくままに言った。
「お兄ちゃん、覚えてる?おばあちゃんの口グセ」

すると、兄はウンウンと頷いた。
「覚えてるよ。『人生、山あり谷あり』だろ」
「そう。物心ついた頃から、何かにつけて言ってたわよね」

『人生、山あり谷あり。いい時もあれば、悪い時もある。
 負けるが勝ちの時もある。どんな時でも、まっすぐに生きて
 いれば、必ずいい時が巡ってくる』

兄がクスッと笑った。
「何かにつけて、じゃないだろう。僕らが落ちこんだ時に言って
 くれてたんだよ。励ましの言葉として」
「確かにそうね」

ようやく笑顔になった兄と私を見て、義姉も安心したようだ。
「コーヒー、おかわり入れましょうか?」
見ると、ずいぶんさめてしまっている。
「お願いします」

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